長男と元夫とのやりとりは今の家に引っ越す前から続いていた。
どうやら連絡用の携帯を処分したことを知った元夫が、 連絡先を書いたメモを長男に渡していたようであった。 私にとっては殺してやりたいくらい憎い相手であっても、 長男にとっては世界にたった1人の血のつながった父親である。 その父親が自分に会いたがっているとわかれば当然嬉しい。 引越し後、新しい携帯を買ってあげた後、 私たちに隠れて連絡を取り続けていた。 でも、それは長男にとって心から喜べるものではなく、 本当の我が子のように育ててくれる今の父親、 病気と必死に闘っている母親に嘘をつき続けることであった。 誰にも相談することもできず、長男もまた苦しんでいたのであった。 長い時間をかけて私たちは話し合いをした。 長男の気持ちを優先して、以前のように定期的に会わせたいが、 それでは病気は確実に悪化する。 うつ病になってもう4年。 今まで様々な私の醜態を見てきている。 本当にこのまま私と一緒に暮らしていきたいのか、 それとも血のつながった父親のもとに行くのか・・・。 長男は、しぼりだすような声で答えた。 「ここにいたい。前のお父さんにはもう会わない・・・」 それが正しい決断だったのか正直わからない。 ただ、今まで隠していたことを話したことで、 長男は憑き物が取れたようにスッキリした顔になった。 それだけ、今まで話せずに自分ひとりで苦しんでいたのだろう。 すっかり立ち直り前向きになった長男とは裏腹に、 私の病状はこの事件をきっかけに急激に悪化の道を辿り始めた。。。 ⇒「暗闇の出口」へつづく |
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